梅毒性バラ疹とジベルばら色粃糠疹の違い

更新:2023/01/07

梅毒の第2期の症状の一つに「梅毒性バラ疹」があります。これは全身の皮膚の広い範囲で発疹ができるのが特徴ですが、同じような症状が出る病気に「ジベルばら色粃糠疹(ジベルばらいろひこうしん)」とうものがあります。

この2つの違いは知恵袋などでも度々質問に上がる話題ですので、ここで梅毒性バラ疹とジベルばら色粃糠疹の違いを過去の症例と写真などを用いながら解説していきます。

画像で確認!ジベルばら色粃糠疹の症状

ジベルばら色粃糠疹(ジベルばらいろひこうしん)とは、数ミリ~数センチほどの赤い発疹が全身(主に胴体)に多数発生する皮膚病です。10代~30代の若者に多く見られ小児やお年寄りでの事例は多くありません。

発症してからの症状として初発疹と続発疹に分けられ、それぞれの特徴が異なります。


ジベルばら色粃糠疹 初発疹の症状

  • 体幹(主に腹部)を中心に、数ミリ程度の赤い発疹が複数発生する。
  • 軽度のかゆみを伴うこともあるが、基本的には無症状
  • まれに微熱や食欲不振など、軽度の風邪の症状がでることがある

ジベルばら色粃糠疹 初発疹の症例写真


ジベルばら色粃糠疹 続発疹の症状

  • 初発疹の1~2週間後、突然数ミリ程~数センチの発疹や紅斑が全身に多発
  • この多発する発疹や紅斑がクリスマスツリー様に見えることがある
  • 痛みは殆どないが、強いかゆみや、うずきを伴うことが多い

ジベルばら色粃糠疹 初発疹の症例写真


ジベルばら色粃糠疹の原因と対処方法

ジベルばら色粃糠疹の原因はその特徴的な症状から、ウィルスの二次的な反応や、細菌に対するアレルギーではないかという説が有力なようですが、未だにはっきりと断定はされていません。

しかし、ジベルばら色粃糠疹の症状自体は1~2ヶ月で自然治癒し、後も残らず、他人に感染する事例も殆どありません。病院での治療としては、かゆみなどの症状に対する抗ヒスタミン薬の処方だけで、あとは経過観察。といったものが一般的です。


梅毒性バラ疹とジベルばら色粃糠疹の症状の違い

梅毒性バラ疹については下記の記事で詳しく解説しています。

画像でみる梅毒のバラ疹の症状(梅毒第2期の症状)

さて、肝心の梅毒性バラ疹とジベルばら色粃糠疹の違いについてです。画像だけで見ると一見、見分けがつかない発疹の症状ですが、それぞれ異なった特徴があります。

梅毒性バラ疹 ジベルばら色粃糠疹
手のひらや、足の裏にまで発疹が発生する 主に体幹(腹から背中にかけて)を中心に発疹が発生する
基本的にかゆみなどはない 発疹部分にかゆみが伴う場合が多い
発疹が治まる際には特に何もない 発疹が治まる際に、皮膚からフケのような白いもの(鱗屑(りんせつ))がでる

上記の症状の違いの他にも、梅毒性バラ疹発症までの潜伏期間である1~2ヶ月前までに

  • 不特定多数の異性と性的接触があった
  • パートナーが変わった
  • 風俗を利用した

など見に覚えがあった場合には、梅毒に感染している可能性が高いことは間違いありません。


まとめ

ジベルばら色粃糠疹自体は、症状としては派手で、全身に大小様々な発疹が発生することから「何か大変な病気なのでは・・・」と心配になりがちなですが、実は皮膚科の間では結構ポピュラーな病気で心配するようなものではありません。問題は、発疹の原因が梅毒性バラ疹であった時です。

梅毒性バラ疹とジベルばら色粃糠疹の発疹の特徴は異なる部分こそありますが、それぞれの症状に個人差がある以上、外観だけでの判断は危険です。やはり、梅毒性バラ疹か、ジベルばら色粃糠疹かを判断する一番の診断方法は血液検査による血清反応検査です。少しでも「おかしいな・・・」と感じたら、早めに検査お行うことをお勧め致します。